差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
ページの作成:「<!-- &tag(過去作,行け!!南国アイスホッケー部,週刊少年サンデー); --> ==行け!!南国アイスホッケー部(ゆけ!!なんごくあいすほ…」
<!-- &tag(過去作,行け!!南国アイスホッケー部,週刊少年サンデー); -->

==行け!!南国アイスホッケー部(ゆけ!!なんごくあいすほっけーぶ)==


http://images-jp.amazon.com/images/P/4091226817.01._SCMZZZZZZZ_V41441312_.jpg
http://images-jp.amazon.com/images/P/4091250734.01._SCMZZZZZZZ_V41441312_.jpg


我らが[[久米田康治]]先生のデビュー作。<br />
当時、「新人コミック大賞から生まれた奇才」と評されていた久米田先生最大のヒット作であるギャグマンガ。<br />
===作品概要===
1990年、同作品で第27回新人コミック大賞を受賞し、[[週刊少年サンデー]]にて翌1991年に読みりが掲載。その後1991年15号より1996年34号まで連載していた。<br />
====[[行け!!南国アイスホッケー部|単行本]]====
コミックス全23巻、累計発行部数800万部。<br />
参考/[http://websunday.net/museum/no07/no07in.html サンデー名作ミュージアム]
====[[行け!!南国アイスホッケー部登場人物|登場人物]]====
====あらすじ====
なあんと南国・九州の高校にアイスホッケー部が!?
おまけにカナダから凄い腕助っ人がやってきた。
その名も蘭堂月斗。
今日もさえわたるその卑怯テクで、リングはますます大混乱!!
(単行本1巻裏表紙より引用)


====作品初期:アイスホッケー部の活躍====
南国九州・鹿児島県にある私立浜津学園。理事長が大のアイスホッケー好きであったため創設されたアイスホッケー部だが、南国に強引に作ってしまったため、練習もママならず当然激弱チーム。<br />
カナダの有名なアイスホッケー選手だった蘭堂月斗は、コーチとの縁からそんな弱小アイスホッケー部の助っ人として転校してくる。アイスホッケー部は月斗の加入で日増しに強く成長していくというスポーツコメディ。<br />
…のはずであったが、素行不良でエッチな月斗をはじめとするやる気のない部員たちとスケベなコーチのおかげでアイスホッケーを行わなくなってしまう<ref>[[久米田康治|久米田先生]]も実際のアイスホッケーの現場取材を行っていたが、その資料が全く役に立たなくなったことは先生ご本人も『[[季刊エス]]』インタビューにて追想している。</ref>。<br />
最後にまともに競技としてのアイスホッケーを行ったのは単行本第4巻1話(通算27話)「秘技!!湯けむりシュート」まで。以降、アイスホッケーは行われず、作品後半では登場人物たちがアイスホッケーの存在自体をきれいさっぱり忘れてしまっていた(単行本第13巻通算136話のようにそのことがネタにされた回すら存在する)<ref>作風は異なるが、同時期にまったく部活をしない下ネタ漫画に、村田ひろゆきの『工業哀歌バレーボーイズ』(1989年~2006年)や木多康昭の『幕張』(1996年~1997年)があった。</ref>。<br />

====作品中期以降:[[下ネタ|シモネタ]]と大量のギャグ====
この漫画の最大の特徴ともいえる大量の下ネタが展開されるのは単行本第4巻2話(通算28話以降)。<br />
基本パターンは、月斗の周囲にさまざまな有名人をもじった一発キャラが登場<ref>ほとんどのキャラクターはシモネタをもじった名前であった。</ref>し、何か話題が出るたびにシモネタに無理矢理結びつけるというドタバタギャグが展開され、読者の笑いを誘っていた。<br />
その過激すぎるネタは時として反感を買い、原稿自体は完成していたもの編集側からストップがかかり原稿が落ちたこともある<ref>なお、原稿が落ちた理由は1995年当時話題になっていたあの宗教がらみ。[[さよなら絶望先生第十四集]][[紙ブログ]]によると「ち●こで空中浮遊」というネタが問題視されたとのこと。</ref>。また、連載中にも年々ギャグの規制が厳しくなっていったといわれており、本誌および単行本には掲載されたが、後にワイド版で発刊された時には削られることになった幻の回も存在する<ref>単行本第9巻通算85話「ホーモ・アローン」は、最初の単行本では許されていたギャグが禁じ手になってしまい、ワイド版ではエピソードそっくり欠番となっている。</ref>。<br />


また、作者近影では毎回裸になるなどのはじけっぷりを披露していた<ref>これについて[[久米田康治|久米田先生]]は、単行本を買ってくれた人だけに対する読者サービスのつもりだったと後に[[さよなら絶望先生第十七集]][[ため、後の[[久米田先生>久米田康治|紙ブログ]]にて釈明している。</ref]]的には[[黒歴史|無かったことにしたい過去]]でもある。<br />


シモネタばかりが主要素に見られがちだが、連載中期以降はシモネタ以上に純粋なダジャレをこれでもかと浴びせ倒すように連発する展開が非常に多かった。そのほか、時折月斗とそあらによるラブコメ風の展開になることがあったが、読者アンケートではラブコメ展開になったときのほうが評判はよかったとのこと。<br />


一方で、物語後半はアイスホッケーが完全に行われなくなったことから、当初は主要な役割を果たしていた部員たちもほとんどが出てこなくなってしまった。<br />

===後の久米田作品に与えた影響===
====ネタの展開====
シモネタがメインの作風ではあるが、後の久米田漫画に欠かせない作風はこの頃からすでに散見されている。<br />

パロディに関しては、当時流行した映画やテレビ番組、当時活躍していた著名人らが次々とネタとされていた。その他にも映画「[[ドラえもん]] のび太の恐竜」をオマージュした「遠い海から来た」シリーズ(単行本第13巻2-3話)や「精霊よびだしうでわ」をオマージュした単行本第17巻2話「雪やコンコン」など、[[藤子不二雄]]作品を換骨奪胎したものが多く見られるのも特徴である。<br />

連載中期からは時折、社会に対する皮肉や作家いじりなどが行われている。<br />
共通するものを列挙するネタが行われ始めるなど作品の終盤では、後作『[[かってに改蔵]]』や『[[さよなら絶望先生]]』へと繋がる形の原型が見られる。また、捕鯨問題などの「社会風刺」、主に[[北崎拓]]がターゲットとなっていた「作家いじり」、「自虐ネタ」などもこの頃から存在していた。<br />

====絵柄の変遷====
他のデビュー間もない作家にも共通して見られる事象でもあるが、作品内における絵柄の変化が非常に激しいこともこの作品の特徴のひとつである。<br />

作品初期の絵柄は、強弱がつけられた主線で描かれており、比較的リアルな人物造形となっている。また登場人物の大半が鹿児島弁を話しているなど、地域的な特性を生かした設定も多くみられた。<br />
中期以降は、絵柄は徐々に線の強弱が失われ、人物造形も「顔が小さく目が大きく」「腕や足が細長く」と言ったデフォルメ化が進行していった。後の久米田作品の特徴となった「コマをぶち抜いた全身絵」は、単行本第4巻1話(通算27話)が初出。以降も時折登場していたが、第15巻10話(通算158話)以降、レギュラー化して描かれていた。<br />
そして末期では細く平坦かつシャープな描線で比較的無機質的な人物造型となっており、脚や首が非常に長くなっている。これら特徴は、現在の久米田作品に至るまで踏襲されており、久米田先生特有の絵柄の原型が確立したのがこの頃であることが読み取れる。<br />

第1話と最終話の絵柄を見比べるとほとんど別の画風に変貌しているが、この変遷自体も連載当時に作品中(単行本第16巻9話『のびたら切ろう』)ですでに自虐ネタにされていた。

====ラブコメ作品への挑戦====
上述のように、作品中で幾度か月斗とそあらの関係が進展しラブコメ風の展開になることがあったが、読者アンケートでは、久米田先生渾身のギャグ回よりもラブコメ回のほうが総じて評判はよかったといわれている。こうしたラブコメへの高評価が、『[[育ってダーリン!!]]』の執筆につながったのではないかと推察される。

====[[さよなら絶望先生]] 作品中にて====
本作について、作品本編中における幾多の自虐ネタのみならず、[[紙ブログ]]や[[絶望文学集]]においてもネタにしている。<br />

====アニメ版[[さよなら絶望先生]] 作品中にて====
[[OAD獄・上|OAD【獄・】さよなら絶望先生・上]]に収録されている[[70話『原型の盾』]]において『行け!!南国アイスホッケー部』第1巻当時の絵柄が原型をとどめていないというネタに対応する形で、EDにおける[[糸色望]]の絵柄が南国調の絵柄に変更となった。<br />
続く[[OAD獄・註|OAD【獄・】さよなら絶望先生・註]]のAパートにて原作[[138話『曰く、過程の幸福は諸悪の本』]]がアニメ化された際には、回想シーンの絵柄が南国風になっており、それに併せて劇中の久米田先生が下ネタ帽装着バージョンに変更になっているほか、絵柄に合わせてかキャラクターの声質が変わっているなどの凝った演出となった。

====さよなら絶望先生・絶望声優関連====
本作品について、[[神谷浩史]]・[[新谷良子]]・[[寺島拓篤]]の三名の絶望声優が連載当時から知っていることを表明しており、その印象についてコメントしたことがある。<br />
その過激さは、久米田作品の百見さまである[[神谷浩史]]が評して曰く、「登場人物(もしくは作者)が服を着ていないタイプの漫画」、同じく百見さまの[[新谷良子]]にも、「[[かってに改蔵|改蔵]]や[[さよなら絶望先生|絶望先生]]には出たいが[[行け!!南国アイスホッケー部|南国]]には…」と言われてしまう始末である。[[寺島拓篤]]も少年誌で連載していたことに対して、「無茶ですね。」と発言している。<br />

====[[かってに改蔵]] 作品中にて====
[[第74話『人気者でいこう・・・よ。』|第74話]]でセンターカラー化した際の最初の2ページが[[行け!!南国アイスホッケー部|南国]]に乗っ取られ、岡本そあら、朝霧舞子とキャプテン天草が登場した。<br />
また、この頃に始まった自虐的作風に則り、マンガの内容が変わるというテーマの[[第64話『ダイヤの6が出てこない!!』|第64話]]や、春に性格を変えて仕切り直しを図るというテーマの[[第135話『春はキャラ変えの季節です』|第135話]]などで、アイスホッケーマンガがシモネタマンガ化してしまったことが、それぞれネタにされている。<br />
またバラまいた膨大な設定を最後に無理やり帳尻あわせというテーマの[[第174話『結局はオレの出番かよ。』|第174話]]にて打ち切りの経緯が、それぞれネタにされている。

====[[太陽の戦士ポカポカ]] 作品中にて====
世界征服クラブのメンバーとして登場した'''キャプテン天草'''はキャプテンの天草健太郎そのもの。怪獣マニアという設定もそのまま流用されている。

===他の作品に与えた影響===
アイスホッケーを題材にした漫画作品では、樋口大輔『GO AHEAD』や篠原知宏『鉄腕ブレイク』などがある。<br />
下ネタを題材にした漫画作品ではあわ箱『浪漫三重奏』がある。<br />
また、同じく週マガで『新約「巨人の星」花形』を描く村上よしゆき(あわ箱と同年代)も、『南国~』の愛読者であったことを巻末コメントで告白している。
====GO AHEAD====
[[集英社]]『月刊少年ジャンプ』にて2005年から2006年まで連載された樋口大輔の漫画作品。単行本全4巻。<br />
アイスホッケーかつ南国という設定が当作品の初期に酷似している。<br />
「主人公の中学生は本場カナダでプロのアイスホッケープレイヤーを目指していたが、両親の仕事の都合で宮崎県に来てしまい、鈍らないかどうか心配で焦っている。ホッケーに興味のない人間は必要ないとばかりにトゲトゲしく過ごしていた毎日が、新任の教師を追い回すうちに変わっていく。その新任教師は、大学で有名なプレイヤーで、NHLにも挑戦したが、弟の死に目に会えなかったことでホッケーを封印している。」というベタな設定も当作品と類似する箇所がある。<br />
[[久米田康治|久米田先生]]も気にかけていたのか、[[さよなら絶望先生]]連載初期に背景ネタとなっていたことがある。

====鉄腕ブレイク====
[[講談社]]『[[週刊少年マガジン]]』にて2008年6号から2008年18号まで連載された篠原知宏の漫画作品。<br />
あっさり打ち切りになっている。

====浪漫三重奏====
[[講談社]]『[[別冊少年マガジン]]』創刊号から2012年7月号に連載していた下ネタギャグ漫画。<br />
作者のあわ箱先生は、10代前半の頃に'''下ネタ移行後の『南国~』に多大な影響を受けてしまい'''、[[久米田康治|久米田先生]]への深い敬意と漫画家への志が芽生える。<br />
その後『[[さよなら絶望先生]]』を連載する[[久米田康治|久米田先生]]と同じ雑誌で連載することを目指してマガジン編集部へ持ち込みを始め、『浪漫三重奏』はマガジンドラゴン読み切り掲載、『[[新人投稿時代から「問題作ばかり描く作家」と認識され、編集部持ち込みのアンケートにも、マガジンを選んだ理由に「[[久米田先生>久米田康治|別冊少年マガジン]]』での連載へと至る<ref]]がマガジンに行ったから」と答えているほど。</ref>。これを受けて[[久米田康治|久米田先生]]も『浪漫三重奏』単行本第1巻の帯にて
シモネタはやめとけって。…マジで。
とのコメントを送っている。<br />
このような経緯から、直参ではないものの同作は(久米田先生の意向とは全く別に)その下ネタ魂を受け継いだ子孫的作品ともいえなくもない<ref>あわ箱先生が現在『月刊ビッグガンガン』で連載中の『イビルば~じん』も、下ネタギャグマンガである。</ref>。

案内メニュー