涼宮ハルヒの憂鬱
涼宮ハルヒの憂鬱(すずみやはるひのゆううつ)[編集]
谷川流が執筆したライトノベル、及びそれを原作にしたアニメ版のタイトル。
女子高生・涼宮ハルヒを巡るSFコメディー。
作品概要[編集]
第8回スニーカー大賞にて大賞を受賞した第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』をはじめ、既刊11巻
が『涼宮ハルヒの~』を表題に「涼宮ハルヒシリーズ」として、角川スニーカー文庫から刊行されている。原作のイラストは、いとうのいぢ。
また、第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』は小中生向けレーベルの角川つばさ文庫からも刊行されている。
コミカライズ版等の関連書籍も含めたシリーズの累計発行部数は、2011年7月時点で1650万部という大ヒット作品となった。
京都アニメーション制作のアニメ版もそのクオリティの高さが話題を呼んだ。
二次創作モノ系である派生作品『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』と鶴屋さんを主人公にした『にょろーん、ちゅるやさん』がYou Tubeの角川アニメチャンネルにてwebアニメ化された。
さらに「ロッテ・ACUO」のCMで生田斗真と共演するなど、その勢いはとどまることを知らない。
あらすじ[編集]
女子高生のヒロイン「涼宮ハルヒ」が「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的とした新クラブ「SOS団」を発足させ、主人公の「キョン」が涼宮ハルヒと風変わりなSOS団メンバーたちに振り回されるという学園コメディ。
作風と特徴[編集]
この物語は、モノローグを含め全て主人公のキョンの「語り」により構成されており、語りとキョンの台詞部分が分かりにくいという意見も聞かれる。またアニメオリジナルエピソードの『サムデイインザレイン』を除くすべてのエピソードがキョンの視点に基づく一人称の物語なので、キョンが見聞きしている事柄を読者も読み進める、逆に言うとキョンがいないところで何が起きているかは読者も直接知ることが出来ない、という作品である。
さらに特徴としては、作品内で時系列がバラバラに収録されている。ただし、メインとなる長編は時系列順に刊行されており、長編の枝葉となる短編の時系列順がバラバラとなっている。尤も、無秩序にバラバラになっているわけではなくプロローグ的な短編→長編→後日譚・サイドストーリー的な短編というような収録順になっている。例として長編『涼宮ハルヒの消失』の場合、プロローグとして短編『笹の葉ラプソディ』→長編『涼宮ハルヒの消失』→後日譚として短編『ひとめぼれLOVER』となっている。また短編自体も1冊の短編集の中では時系列順に収録されている。
アニメ版[編集]
アニメ版のタイトルは「涼宮ハルヒの憂鬱」。
2006年4月から7月にかけて、独立UHF局を中心として深夜枠で放送された。全14話。京都アニメーション製作。
(実際は政令市クラスでも放送されていたので視聴枠は広かった。ハルヒのパロディも放送した『らき☆すた』も同様)。
2009年4月から新作も含めて独立UHF局とyoutubeで放送されている。
2009年版では、演出上時系列が並べ替えられていた2006年版作品を時系列順に並べ替えた上で、その途中に新作エピソードを挿入した形式(既存14話+新作14話の全28話)で再度放映されている。
2010年に「涼宮ハルヒの消失」が映画化。同年2月6日より公開された。
メインキャスト[編集]
~キャラクター | ~キャスト |
CENTER:キョン | CENTER:杉田智和 |
CENTER:涼宮ハルヒ | CENTER:平野綾 |
CENTER:長門有希 | CENTER:茅原実里 |
CENTER:朝比奈みくる | CENTER:後藤邑子 |
CENTER:古泉一樹 | CENTER:小野大輔 |
CENTER:鶴屋さん | CENTER:松岡由貴 |
CENTER:朝倉涼子 | CENTER:桑谷夏子 |
CENTER:喜緑江美里 | CENTER:白鳥由里 |
CENTER:キョンの妹 | CENTER:あおきさやか |
CENTER:谷口 | CENTER:白石稔 |
CENTER:国木田 | CENTER:松元恵 |
CENTER:シャミセン | CENTER:緒方賢一 |
アニメ版における久米田作品出演声優の出演は以下の通り。
- 斉藤貴美子(婦人役)がおばちゃんA役
アニメ版の演出[編集]
アニメ版では、京都アニメーション製作のハイクオリティの作画や、エンディング曲『ハレ晴レユカイ』に合わせてキャラクターがコミカルに踊るいわゆる「ハルヒダンス」などが注目を集め、大好評ヒット作品となった。
演出面では原作よりもさらにエキセントリックになっており、短編については無秩序に時系列を入れ替えている。実際、TVアニメ放映時に第1話として放映されたのは、第1期にアニメ化されたエピソードを時系列順に直したときには11番目に相当する「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」であった。さらに、その後の放映も原作の時系列に従わず、シャッフルされた状態で放映されていったため、原作の予備知識なく視聴した当時のアニメファンや視聴者を大いに困惑させた。
これにより、アニメ版本放送時の場合は、ある程度原作小説を読んでいることが必須となり、原作ファンからはアニメ化エピソードの予想など一部で盛り上がりを見せた。対照的に、原作未読者はこの構成のおかげでおいてけぼりを食らった形となった。
エンドレスエイト騒動[編集]
2009年版の新作エピソード『エンドレスエイト』の放映が始まると、その内容・構成が物議を醸した。
原作では繰り返していた夏休みを脱出するという短編に過ぎなかったこのエピソードを、毎週ほぼ同じ内容を何週にも渡り放映する原作以上のループ演出がなされ、結局アニメでは表題の「エイト」にかけて8話を費やしてループ脱出した。
この、新作話数の14話分(予定)の半分以上を費やした構成に、賛否両論が巻き起こった。
ほぼ同じ内容なのに毎回、監督・絵コンテ・アフレコが違う(脱出回のみ例外)という実験的な構成を評価するものもあれば、限られた新作エピソードの話数を考えて原作でも人気の高い『涼宮ハルヒの消失』のアニメ化の望みがなくなったことを非難する声もある。
良くも悪くも、ハルヒファンのアニメへの期待の高さを窺わせる騒動となった。
なお、2009年版の放送終了後に『涼宮ハルヒの消失』の映画化がアナウンスされたことから、『消失』で起きる出来事に至る過程を、エンドレスエイトの膨大な時間表現によって表現しようとする試みだったのかもしれない。
久米田康治との関連[編集]
久米田康治との関係[編集]
作品内にキャラクターが描かれたり、涼宮ハルヒのセリフが引用されていたりするので、久米田先生はこの作品のファンなのかもしれない。さよなら絶望先生単行本22集の紙ブログでは、久米田先生がメインキャラクターである長門有希のイラストを本気で描いたことや、涼宮ハルヒ役の声優・平野綾宛てにラブレターを書いてはみたものの出せなかったこと(おそらくネタであろう)などが明らかにされている。
さよなら絶望先生作品内にて[編集]
初登場は70話におけるコスプレキャラのひとつとして。
82話では1/3の愛の言葉集として涼宮ハルヒのセリフが引用されている。126話では、北京オリンピックのパンフレットに描かれた「ハルヒによく似たキャラクター」(いわゆる「涼宮哈爾濱」)が取り上げられた。
上述の演出方法をめぐるネタとして、2006年版アニメ関連では、
99話では、初心者はアニメを放送順に観てはならないと突っ込まれ、235話では、原作11話が放送第一話と羅列ネタにされた。また、2009年版アニメの演出が物議を醸す中、189話、213話ではエンドレスエイトネタがとりあげられていた。
さらに単行本追加項目では「ハルヒの映画は音と映像とニオイの3D」とネタにされた。
Webラジオ さよなら絶望放送にて[編集]
さよなら絶望放送内のミニ番組「藤吉ハルミの憂鬱」の元ネタはもちろんこの作品。
その他[編集]
この作品の派生作品「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」では、登場人物がしばしば「うなっ」という声をあげる。さよなら絶望先生から涼宮ハルヒへとポロロッカしたネタ。