スタジオジブリ

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スタジオジブリ(Studio Ghibli)[編集]

宮崎駿や高畑勲が活動の拠点としているアニメ制作スタジオ。
『となりのトトロ』や『紅の豚』など、多くの長編アニメーションを制作している。
最新作は2014年7月公開の『思い出のマーニー』。

概要[編集]

設立、そして成熟期へ[編集]

『風の谷のナウシカ』を制作したトップクラフトを母体として、1985年6月15日に徳間書店の出資により、株式会社として設立された。
「スタジオジブリ」の名称は、サハラ砂漠に吹く熱風(ghibli)とこれを名前に冠したカプローニ社の偵察機「Ca.309 ギブリ」[1]に由来している。
1997年に徳間書店に合併吸収され同社の一事業部門となる[2]が、2005年に徳間書店の傘下から独立し再び株式会社となった。

また、テレビ局では日本テレビと専属契約を結んでおり[3]、ジブリ制作の映画は同局の『金曜ロードショー』でのみ放送されている。
そうした縁もあり、『金曜ロードショー』では1997年から2009年までジブリ制作のアニメ(監督:宮崎駿/作画:近藤喜文 テーマ曲:久石譲作曲『シネマ・ノスタルジア』)がOPとなっていた。

日本映画において重要な位置づけともなった多くの名作を生み出した実績は他の追随を許さず、自社そのものがひとつのブランドと位置づけても過言ではないほどの存在に成長し、国内はもとより海外からも注目を浴びているが、近年は宮崎駿・鈴木敏夫両氏の考えに基づく芸能人声優起用の横行、後継者問題、作品レベルの低下などから、手放しで評価できるスタジオでは無くなってきている。
これについては宮崎氏も「昔どおりの起承転結の明確な作品を作る気がなくなっている」「自分の作るものの大衆性が薄れている」と述べている。

世代交代から活動の転換期へ[編集]

宮崎の才を見出して徳間書店時代から苦楽を共にし、作品のプロデュースを多く手がけた鈴木敏夫は宮崎と高畑が退いた後のスタジオ存続を憂慮していた。
新たな才能発掘のため2009年4月にトヨタ自動車と提携し、愛知県のトヨタ本社内に新スタジオとして「西ジブリ」を開設したが2年間の常駐予定を待たずに約1年4ヶ月で閉鎖。
そこで若手育成のための5ヵ年計画に基づいた新作映画製作を立ち上げ、宮崎駿は企画と脚本のみ担当して監督は宮崎吾朗(『コクリコ坂から』を担当)と米林宏昌(『借りぐらしのアリエッティ』を担当)にそれぞれ任せることで、新しい製作実務の確立を試みた。
その後2013年9月に宮崎駿が『風立ちぬ』を最後に長編映画製作から引退することを表明。鈴木敏夫もプロデュースを西村義明に引き継がせた。
しかしアニメ業界では異例唯一とも言われる約300名の正社員を雇用する業態は年間人件費だけでおよそ20億円かかり、完成作品の興行収入で莫大な費用を確実に回収しなければならない経営課題[4]を背負い続ける事業は限界点に達する。

鈴木:大掃除と言うんですかね、リストラクチャー(再構築)、それをしばらくの間やろうと思ってます。 
   宮さん(宮崎駿監督)の引退というのは、やっぱり大きかったんですよ。 その後のジブリをどうするか、そういうことで言うと、
   そのまま延々作り続けることは決して不可能ではなかったんですけれど、一旦ここらへんで小休止して、これからのことを考えてみる。

(宮崎引退後として初となる)2014年6月27日開催のスタジオジブリの株主総会にGM(ジェネラルマネージャー)として出席した鈴木敏夫の発言

鈴木の発言はジブリ解散かとの憶測も飛ぶ事態となった。ジブリでは既に2013年9月、2014年4月の研修生募集を『見送る』という案内を公式発表しており、、2014年9月以降の募集も「未定」としていた[5]
同年8月4日の夕刊フジではドワンゴ傘下入りの話が浮上しているとの報道が出る[6]。のち鈴木氏は解散を否定しつつも現状に対する憂慮と迷走を匂わせる発言が続いた。

鈴木:解体とかジブリがなくなっちゃうって言われてますが、つくり方を変えるんですよ。

(2014年8月7日にNHK総合『あさイチ』に鈴木敏夫が出演した際の発言)
鈴木:結果として(公開中の)『思い出のマーニー』を大人が観に来てくれた。平均単価が上がったのよ。思わぬ効果。こういうことってあるんだな。
   (この際のインタビューで、鈴木氏は『思い出のマーニー』のプロデュースが女子中高生向けに偏りすぎていると西村プロデューサーへの不満を述べている)

(2014年8月18日に開催されたトークイベントでの鈴木敏夫の発言)
~宮崎・鈴木両氏とは旧知の仲でもあり映画でも組んだことがある押井守監督によるジブリ株主総会での鈴木発言への検証
押井:今日聞きたいことは、ひとつしかない。ジブリ、どうするつもりなの?(押井はスタジオジブリの存続に対しては悲観的で「アナクロニズム」「いずれ潰れる」と過去に述べている)

鈴木:今日はパトレイバーの話でしょ?
押井:そんな事どうでもいい。どうするもこうするも、リストラも必要だろうけど、リストラしたいから、こうするの?
鈴木:リストラも必要だけど・・・
押井:ネタが尽きた?
鈴木:本当の理由は、何を作るかが難しい。誰が作るか・・これだよね。 機が熟せば(新作を)またやってみたい。
   日本だけで作品を作るのが、アニメも難しくなってきた。 スタッフが、どうもアジア・・タイに優秀な人がいっぱい出てきている。
   ピクサーで修行を終えて、国に帰るとスタジオを作る。 世界でアニメの映画を見ると、アジアがグランプリを取っている。
押井:ジブリをどうするか聞いてるの!
鈴木:そのままずっと続けるしかしょうがないよね。
押井:誰で作るの?
鈴木:知らないよ・・・
押井:本当にジブリやめる気あるの? 業界にとって迷惑。 おたくのアニメーター、全員クビにするの?言っとくけど、IG(押井監督が所属するProduction I.G)では引き取れないよ。
鈴木:全員はしないから。
押井:半分にするの?
鈴木:わかんない。

~鈴木氏が庵野秀明氏を後継者に指名した件について
鈴木:東京国際映画祭で庵野の特集上映をやるわけでしょ。そういう場でいろんな人に注目していただくにはそういう言い方がいいかなと思って。
   庵野自身が宮さんの弟子だと公言しているということもある。それを客観的に言うとそう(=後継者と)なるでしょ。
押井:それって言葉のあやだよ。世間的に言うと、後継者っていうのはさ、宮さんの座っていた席に座ることなんだから。
~最終的に鈴木氏は庵野氏の去就の明言は避けた。

(2014年9月11日開催、映画『THE NEXT GENERATION -PATLABOR- 第4章』の上映記念トークイベントより)

2014年8月には製作スタッフが退職、同年末には後継者候補と目された米林宏昌もジブリを退職したことが明らかとなり、ジブリの製作部門は事実上活動停止。今後新作に着手する場合でも他社と同じく作品ごとにスタッフを集める方針への転換が決定的になる。


制作休止後の活動[編集]

アニメ制作休止中でもジブリは各地の美術館や博物館での展示活動を積極的に行っている。

2015年8月に行われた講演で鈴木プロデューサーは宮崎駿がCGで短編製作に取り組んでいる現況、オランダのマイケル・ドュドック・ドゥ・ヴイット[7]が監督する『レッド・タートル」のプロデュースに着手している旨を話したが、『レッド・タートル』の製作作業は主にパリで行われており、完全自社製作の長編大作については言及は無いままだった。

作品リスト[編集]

~タイトル ~監督 ~公開年 ~制作費 ~興行収入
CENTER:[[[宮崎駿 天空の城ラピュタ]] CENTER] CENTER:1986年 CENTER:(宣伝費含め)推定約8億円 CENTER:11.6億円(配給収入:5.8億円)
CENTER:となりのトトロ CENTER:宮崎駿 CENTER:1988年 CENTER:(宣伝費含め、併映火垂る込み)推定約12億円 CENTER:(併映火垂る込み)11.7億円(配給収入:5.9億円)
CENTER:火垂るの墓 CENTER:高畑勲 CENTER:1988年 CENTER:(宣伝費含め、併映トトロ込み)推定約12億円 CENTER:(併映トトロ込み)11.7億円(配給収入:5.9億円)
CENTER:魔女の宅急便 CENTER:宮崎駿 CENTER:1989年 CENTER:(宣伝費含め)推定約4億円 CENTER:36.5億円(配給収入:21.5億円)
CENTER:おもひでぽろぽろ CENTER:高畑勲 CENTER:1991年 CENTER:推定約8億円 CENTER:31.8億円(配給収入:18.7億円)
CENTER:紅の豚 CENTER:宮崎駿 CENTER:1992年 CENTER:(宣伝費含め)推定約9億円 CENTER:47.6億円(配給収入:27.1億円)
CENTER:海がきこえる CENTER:望月智充 CENTER:1993年 CENTER:(宣伝費含めず)推定約2億5000万円 CENTER:視聴率17.4%(テレビ放映)
CENTER:平成狸合戦ぽんぽこ CENTER:高畑勲 CENTER:1994年 CENTER:(宣伝費含め)推定約8億円 CENTER:44.7億円(配給収入:26.5億円)
CENTER:耳をすませば CENTER:近藤喜文 CENTER:1995年 CENTER:(宣伝費含め)推定約8億円 CENTER:31.5億円(配給収入:5.8億円)
CENTER:[[[宮崎駿 もののけ姫]] CENTER] CENTER:1997年 CENTER:(宣伝費含めず)約23.5億円 CENTER:193億円(配給収入:112.1億円)
CENTER:ホーホケキョ となりの山田くん CENTER:高畑勲 CENTER:1999年 CENTER:(宣伝費含めず)約23.6億円 CENTER:11.6億円(配給収入:5.8億円)
CENTER:[[[宮崎駿 千と千尋の神隠し]] CENTER] CENTER:2001年 CENTER:(宣伝費含め)推定約15~20億円 CENTER:304億円
CENTER:猫の恩返し CENTER:森田宏幸 CENTER:2002年 CENTER:(宣伝費含め、併映ギブリーズ込み)推定約8億円 CENTER:(併映ギブリーズ込み)64.6億円
CENTER:ギブリーズ episode2 CENTER:百瀬義行 CENTER:2002年 CENTER:(宣伝費含め、併映猫の恩返し込み)推定約8億円 CENTER:(併映猫の恩返し込み)64.6億円
CENTER:ハウルの動く城 CENTER:宮崎駿 CENTER:2004年 CENTER:推定約24億円 CENTER:193億円
CENTER:[[[宮崎吾朗 ゲド戦記]] CENTER] CENTER:2006年 CENTER:推定約25億円 CENTER:76.5億円
CENTER:[[[宮崎駿 崖の上のポニョ]] CENTER] CENTER:2008年 CENTER:(宣伝費含め)推定約34億円 CENTER:155億円
CENTER:借りぐらしのアリエッティ CENTER:米林宏昌 CENTER:2010年 CENTER:(宣伝費含め)推定約23億円 CENTER:92.5億円
CENTER:コクリコ坂から CENTER:宮崎吾朗 CENTER:2011年 CENTER:未公表 CENTER:44.6億円
CENTER:風立ちぬ CENTER:宮崎駿[8] CENTER:2013年 CENTER:未公表 CENTER:120.2億円
CENTER:かぐや姫の物語 CENTER:高畑勲 CENTER:2013年 CENTER:(宣伝費含め)推定約51.5億円 CENTER:24.7億円
CENTER:思い出のマーニー CENTER:米林宏昌 CENTER:2014年 CENTER:(宣伝費含め)推定約11.5億円 CENTER:35.3億円

久米田康治との関連[編集]

作品・キャラクター[編集]

主に宮崎駿監督作品及びそのキャラの中では『天空の城ラピュタ』とその悪役キャラのムスカがネタになる機会が多い。
また、宮崎吾朗及び『ゲド戦記』については否定的な見地にある。

さよなら絶望先生アニメ版予告編[編集]

先述の『金曜ロードショー』OPのパロディが本作放映前の予告編となっている。
元ネタのOPアニメにおいて、映写機を回す紳士が糸色交になっている。

  1. 飛行機マニアでもある宮崎駿監督の影響から。監督はこの名前に愛着があったようで、『紅の豚』では主人公機のサボイアS.21の改修時に搭載したエンジン名にもしている。
  2. 当時、徳間書店は経営が悪化の一途を辿っており、スタジオジブリの収益を当てにして合併された。
  3. 近年の作品は出資も行っている。なお、日本テレビのアニメ作品のプロデューサーである高橋望は元スタジオジブリ社員。
  4. 興行収入のうち製作会社の取り分は概ね20~30%、ジブリの場合25%なので、最低でも制作費のおよそ4倍の興行収入を稼ぐ必要がある。
  5. 三鷹ジブリの森美術館では2015年以降も募集を行っている。
  6. 2008年から社長を務める星野康二はドワンゴ社外取締役も務めている。
  7. 『岸辺のふたり』で2001年の米アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞している。
  8. 宮崎監督の長編アニメ最終作品。