四十一日目/風邪の神送信

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四十日目/貧乏仮装四十二日目/次元無

四十一日目/ 風邪の神送信(かぜのかみそうしん)[編集]

タイトルの元ネタは上方落語の『風邪の神送り』より。

現在ほど医療が発達していなかった江戸時代には、風邪で命を落とす人も少なからず[1]、「風邪の神」を遠くへ追いやる行事が催されていた。
風邪の神の人形を作り、お囃子で賑々しく町から町へ送り出し、海や川へ流す。そんな折、風邪の神が遠ざかるのを惜しむ者がいた。誰かと思えば町の薬屋。それでも風邪の神送りを催すため、町の若衆たちの奮闘で行事は開かれたが・・・

作品情報[編集]

2012年12月8日発売、別冊少年マガジン1月号に掲載。

P4[編集]

扉絵[編集]

ナースの格好をして注射器を持っている防波亭手寅と、ベットに座って注射を拒否する暗落亭苦来

欄外(雑誌掲載時のみ)[編集]

“注射が怖い”っていうからちゃーんと用意しましたよ!
いやそーいう落語的なフリじゃなく…
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『まんじゅうこわい』ネタから。
「怖い物=好きな物」というフリと捉えて、極太の注射を用意している扉絵。

クレジット(雑誌掲載時のみ)[編集]

漫画/シドヴィシ・ヤス[編集]

担当Twitterによるプレゼント企画のお題「苗字の無いヤス先生の苗字を考える」よりパンク賞受賞作。(⇒★>https、企画のTogetterまとめ⇒★>http
P733の楽屋雀の巣も参照。
連載号発売以降に、ヤス先生のTwitterも「シドヴィシ・ヤス」に名前を変更している。

元ネタはシド・ヴィシャス。
イギリスのパンクロッカーで、セックス・ピストルズの2代目ベーシスト。本名はジョン・サイモン・リッチー(のち親の再婚でビヴァリーに改姓)。
元はピストルズの熱狂的ファンで、ピストルズのリードボーカルのジョニー・ロットンとは学生時代からの友人同士だった。ベースはピストルズ加入までプレイしたことがなく演奏者としての腕はそれなりだったが、ファンから表現者の側になったことで暴走ぶりはさらに加速。ベースで客を殴ったり自傷して血塗れになったりするなどの過激なパフォーマンスで人気を博し、パンク・ロックの「伝説」として現在も崇拝されている[2]。日本でも椎名林檎の曲『ここでキスして。』の歌詞で「現代のシド・ヴィシャスに手錠かけられるのは只あたしだけ」と引用されている。
「何故だかはよく分からないけど、俺は25歳になる前に死ぬだろう。それまでは生きたいように生きてると思う」「俺は自分の好きなことをするだけだ。それで世界中から嫌われたって、何だっていうんだ?」「俺はバンドの中じゃ一番の最低野郎だと思う。でもピストルズの目指していたものを一番強く示しているのは俺だけだと思う。他の3人(メンバー)は平凡すぎるんだ」等と発言した通り、音楽も私生活も生き急ぐが如く過激御免・御意見無用を貫いた。ピストルズ追っかけのナンシー・スパンゲンと付き合うようになってから共にヘロインに手を出し[3]、ジョニーがピストルズを脱退した1978年には重度のヘロイン中毒者になり音楽活動も困難な身になってしまい、ピストルズ解散後の1978年10月に恋人のナンシー殺害容疑で逮捕[4]され、保釈後の1979年2月2日(事件から約4ヶ月後)にヘロインのオーバードースが原因となり21歳の若さで夭逝した。
少年期は繊細で気弱な性格だったらしく、そんな自分自身への不満と変身願望がパンク・ロックと出会ったことで覚醒し、シドになりきりすぎて精神のバランスを見失ってしまったともいわれており、ゆえにジョニーは「シドはいい奴だった。パンクという小賢しい産業が、あいつを洒落の分からないヤク中の化け物に変えちまった」とその死を惜しんでいる。

P5[編集]

3コマ目[編集]

貼り紙「手うが期間!!」[編集]

「手うが」は「手洗いとうがい」の略称。
なもりの漫画及びアニメ『ゆるゆり』にて、メインキャラクターである歳納京子が考案したもの。
なお、アニメでは第2期『ゆるゆり♪♪』第2話で「手うが」が登場し、同時期に放送されたじょしらく第二席Cパートと風邪(インフルエンザ)予防ネタが被るという状況があった。

余談だがヤス先生関係では、ヤス先生がキャラクター原案を手掛け2013年1月からアニメが放送される『まんがーる!』と『ゆるゆり』シリーズの制作スタジオ(動画工房)が同じという共通点もある。

P6[編集]

2~5コマ目[編集]

木胡桃「マリーさんがウィルスに感染して 遠隔操作されているの!」
苦来「そういえば最近 パソコンがウィルス感染して遠隔操作される事件があったけど 人にも感染するのアレ!?」
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2012年に相次いで起きた、2ちゃんねるしたらば掲示板の利用者がコンピュータウイルスに感染して犯罪予告などの書き込みを行うよう遠隔操作された事件。
なりすまされた5人のうち4人が逮捕された連続冤罪事件へと発展し、警察の強引かつずさんな捜査手法やサイバー犯罪対応の稚拙さ、また実名報道により実生活に大きな被害を受けた誤認逮捕者もいたことでマスコミの報道姿勢にも批判が噴出した。
真犯人とされる人物からは犯行声明や自殺予告が出されており、今話掲載時点では解決されていなかった。
追記:掲載から約2ヶ月後の2013年2月10日に、真犯人と目される片山祐輔容疑者が逮捕された。本人は容疑を否認、2014年には証拠不十分として釈放されるものの、その後行った河原でのアリバイ工作を警察にしっかりと目撃され、逮捕された。

逮捕された1人は『機動戦士ガンダム00』の助監督を務めたアニメ演出家の北村真咲[5]だったことで、逮捕当時に話題となった。

P7[編集]

1コマ目[編集]

丸京「あぁ何か犯罪予告を書き出した!」
手寅「誤認逮捕されてしまう!!」
魔梨威の書いたホワイトボード「コロス」
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2010年以降、ネット掲示板などにいたずらで殺害や犯罪行為の予告をして逮捕されてしまうケースが後を絶たず、ネット社会ならではの問題になっている。

P8[編集]

P9[編集]

P10[編集]

1コマ目[編集]

丸京の表情[編集]

5コマ目[編集]

手寅「でも シャイで大人しい男の子じゃなかったのかしら」
木胡桃「いや そーゆう男に限ってネット上では大暴れするんです」
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そうした特徴を持つ人物は「ネットヤンキー」「ネットヤクザ」等といわれる。

P11[編集]

5コマ目[編集]

苦来「キョンシーみたい」[編集]

キョンシー(僵尸)は中国に伝わる動きまわる死体の妖怪のこと。
以下にあるような、映画『霊幻道士』シリーズの演出によるイメージが根強い。

コマ絵で苦来が腕を伸ばしているのは、キョンシーの肘や膝が曲がらず[6]、ピョンピョン跳ぶように動く際にバランスを取る動きの真似。
7コマ目の絵にあるような額の護符は、キョンシーの動きを封じるために貼られる物。また、道士により操られた状態に置かれているキョンシーも額に呪符が貼られれている。

P12[編集]

P13[編集]

10コマ目[編集]

木胡桃「止めるのも野暮ってもんでやんす」
手寅「何がやんすだ」
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吉沢やすみの漫画およびアニメ『ど根性ガエル』に登場する五郎が同じ口癖。
主人公のひろしの後輩にして、一途に慕う弟分的キャラ。「あっし」「~やんす」などの任侠ものを意識したような古風な口調で話す。

P14[編集]

4コマ目[編集]

苦来「放っておいた方が 人気出るって」[編集]

近年の『ゆるゆり』や『TARI TARI』『咲-saki-』『ガールズ&パンツァー』など、女子キャラ中心の群像系作品に人気が出やすい傾向、そして同じく別マガ連載の女子群像系作品でも創刊号から手堅く連載中の『そんな未来はウソである』のほか『新世界より』『マックミラン高校女子硬式野球部』『スライムさんと勇者研究部』などの新連載組も増えている傾向を暗に意識した発言と推察される。
特に『新世界より』の作品世界では、同性間の性的接触も推奨されているという設定があるため、漫画版ではやや過激なほどに女子キャラのヌードやカラミの場面が多い作風になっており、今話の展開から鑑みてもかなり意識した感がある。

11コマ目[編集]

苦来「ヘタクソ!! そんな少年誌レベルで人気出るか」
手寅「まぁ 経験値の低い男が操作しているからね」
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このページの会話の流れに沿い、女子群像系作品(おそらくは『新世界より』)を意識した指摘。「少年誌レベルで」と断りつつも、別マガでは『悪の華』『カプリッチョ』『浪漫三重奏』など、性的な描写や下ネタを積極的に扱う作品も少なくない少年誌である。
この展開に呼応したのか全くの偶然なのか、今話掲載号の『新世界より』では主人公の早季と親友の真理亜の濡れ場があったり、『Half&half』でも主人公の彼女が親友に寝取られたり(乳首券発行あり)、『さんかれあ』でも礼弥とダリンの入浴&抱擁シーン(乳首券発行あり)があったりと、妙にお色気多めの展開だった。

きわどい描写の他作品も少なくない中、下ネタは得意でもストレートな性描写には節度を持つ趣向の久米田先生だけにヤス先生を遠隔操作、もとい共同執筆していてもなかなか一線を踏み越せない自虐ネタも兼ねているかもしれません。

P15[編集]

1コマ目[編集]

テレビ画面のキャラクター[編集]

水島努監督のアニメ『ガールズ&パンツァー』で、主人公チーム(あんこうチーム)の操縦手を担当している冷泉麻子か。

机の下の本「C83」[編集]

2012年12月29日~31日開催のコミックマーケット83のカタログと思われる(実際の冊子はこれほど厚くありません)。
ヤス先生も新刊を揃えて31日参加です(1月7日からとらのあなでの委託販売あり)。

3コマ目[編集]

戦車の模型[編集]

ドイツ軍が第二次大戦期に運用していたIV号戦車D型。
上記『ガールズ&パンツァー』で、あんこうチームの搭乗車輌として登場。

8コマ目[編集]

スナイパーライフル[編集]

ドイツ・&ruby(ヘッケラー&コッホ){H&K};社のPSG1。 1970年代~2000年代にかけて、世界最高レベルの着弾精度を有する狙撃銃として知られており、映画、漫画など各コンテンツ方面でも数多く登場する。後述の『バイオハザード』シリーズでの出番も多い。
2010年代以降は後継モデルのMSG90に置き換わりつつある。

サブマシンガン[編集]

H&K社のMP5Kか?
次ページにて両手に一丁づつ持つためか、両手持ちするためのバーティカル・フォアグリップが普通のハンドガードになっている。
もしくは、民生用でバーティカル・フォアグリップが付属していないSP89か?

9コマ目[編集]

マシンガン[編集]

アニメ第十一席にも登場したM60機関銃。

10コマ目[編集]

苦来の銃の構え方[編集]

新條まゆの漫画『覇王?愛人』での、世界一腕の立つ殺し屋がコルト・XM177E2[7]を構えるポーズに似ている。
銃床を肩に担ぐ、スナイパーなのにアサルトライフル(突撃銃)を使用する、サイトスコープがないのに照準が表示されているなど、ツッコミどころ満載のシーンとして有名。
久米田先生さよなら絶望先生第十四集紙ブログの挿絵でネタにしている。

なお、新條まゆはスナイパーライフル(上述のH&K PSG1)の電動エアガンを購入し、自虐ネタの写真を公開している。(⇒★>http

余談だが、後述の若大将こと加山雄三もスナイパー役を演じたハードボイルドアクション映画『狙撃』に主演しているが、こちらは日本映画らしからぬほどに銃へのこだわりを見せていたりする。

P16[編集]

1コマ目[編集]

手寅「若大将が遠隔操作しているのよ!」
欄外注「若大将…鈴木史朗アナウンサーと並ぶ『バイオハザード』フリーク。」
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若大将こと加山雄三は『スペースインベーダー』の頃[8]から趣味にしていたほどのゲームフリークとして知られ、『バイオハザード』や『ファイナルファンタジー』(Xまで)などをプレイし、出演したテレビやラジオ番組で熱く語っている。
『バイオハザード』は歴代全作をプレイしており、初代をナイフのみでクリアをしたり、『4』の「THE MERCENARIES」では20万点近いスコアを叩き出すほどのやり込みっぷりである。
ちなみに加山氏はSFを愛し、音楽方面でもテクノミュージックが流行した1980年に自ら作曲[9]したテクノ歌謡『メガロポリス・サンシャイン』を発表したり、自宅に打ち込み(DTM)設備を導入するなど、電子方面には早くから開明的な姿勢の人でもあったりする。

同じくスーパーファミコンの頃からのヘビーゲーマーで、バイオハザードフリークとしても有名な鈴木史朗とは「クラウザー!」[10]と挨拶してゲームの情報交換をするほど仲がいい。
シリーズ第8作『リベレーションズ』では広告で共演し、発売記念の対談も行っている。

10コマ目[編集]

木胡桃「ハックしたのはいいんだけど 責任感じてゆうゆう散歩中」[編集]

テレビ朝日系列の紀行番組『若大将のゆうゆう散歩』。
地井武男の療養[11]に伴い終了した『ちい散歩』の後継番組として2012年5月より放送されている。

テレビのナレーション「今日は秋田に住むシドヴィシ・ヤスさんのお宅です」[編集]

ヤス先生は11月の間、秋田に滞在していた。
楽屋雀の巣にて、今話は秋田に持ち込んだパソコンで執筆していたことが明かされている。
この他、巻末コメントやヤス先生のTwitter(⇒★>https★>https)も参照。

なお、『若大将のゆうゆう散歩』と前番組の『ちい散歩』は基本的に関東ローカルの番組[12]であるため、基本的に東京都とその隣県をメインに散歩している。
『ちい散歩』では時折地方や海外へと足を伸ばしており、秋田も訪れている。『ゆうゆう散歩』も11月放送分で長野[13]を散歩しており、今後は他県も取り上げられる可能性があるかもしれない。[14]

欄外(雑誌掲載時のみ)[編集]

ちなみに若大将は、バイオの新作が出ると仕事を休むらしい。[編集]

ラジオ番組『加山雄三 プレミアムステージ』での発言より。

僕の大好きなゲームでバイオハザードっていうのがあるんだけど、今度新作が出るんだ
(略) 
この新作が出たら仕事をキャンセルしようと思ってね

ここで語っている「新作」とは、PS3・Xbox360版が10月に発売されたシリーズ第9作『バイオハザード6』のこと。

P733 楽屋雀の巣 じょしらく通信 ファンページ(雑誌掲載時のみ)[編集]

義務?[編集]

今話の覆面落語家[編集]

P14の7コマ目[編集]

かゆいところ[編集]

P10の4コマ目[編集]

魔梨威の髪[編集]

結んだ先の部分のトーンの貼りもれあり。

P12の4コマ目[編集]

魔梨威の顔の影[編集]

左目上と前髪の間のトーンの貼りもれあり。

P11~[編集]

抱き合う裸の魔梨威と下着姿の丸京[編集]

アニメ版で魔梨威役を演じる佐倉綾音の百合趣味の影響も加味されているかもしれない。


四十一日目/風邪の神送信~
四十日目/貧乏仮装四十二日目/次元無
  1. 特にインフルエンザは致命的ともいえる威力で、大正時代の頃でも「スペイン風邪」の流行で全世界で5000~6000万人が、日本でも約10万人が死亡した事例がある。
  2. 恋人のナンシーの死亡現場となったニューヨークのホテルの部屋はファンの聖地と化してしまったため、後に改装された。
  3. シドは母親が麻薬中毒者でナンシーとの交際以前から自身もソフトドラッグは使っていたが、ナンシーもまたイギリス移住前から麻薬中毒者で、ハードドラッグに手を出したのはナンシーとの交際以降といわれている。こうした経緯もあってかジョニーはナンシーを嫌い、二人を別れさせようとしたが失敗している。
  4. 状況証拠からシドがヘロインの摂取による錯乱状態の中で刺殺したと推測されているが、被疑者のシドが急逝したため捜査が打ち切られている。凶器の指紋やシドの所持金が無くなっているなど謎も多く、別犯人説もある。
  5. 冤罪発覚後に匿名報道に切り替えた報道機関に対し、名誉回復のため実名での報道を希望している。
  6. 僵尸は字義的には硬直した死体を指す。
  7. M16A1の銃身を短縮しサブマシンガン化した改良版。このコンセプトは後のM4カービンにも引き継がれる。
  8. 独自に筐体を購入し、自宅に置いてプレイしていたという。
  9. 弾厚作名義。作詞は阿久悠。編曲は日本のシンセサイザー黎明期において冨田勲と並ぶ双璧とうたわれた深町純が担当している。
  10. 『バイオハザード4』の敵キャラクターであるジャック・クラウザーのこと。『4』クリア後にプレイできるミニゲーム「THE MERCENARIES」では操作可能で、鈴木史朗アナはクラウザーを使用して18万8270点のスコアを叩き出している。
  11. その後、2012年6月に死去。
  12. 朝日系列のBSやCS放送では全国放送、番組販売の形式で他地域の地上波でも一部を放送している。
  13. 同番組を月曜日のみ同時ネット放送している。
  14. 追記:12月以降も茨城、京都など他の府県へと散歩の地域を拡大している。なお、茨城では今話でネタにされた『ガールズ&パンツァー』の舞台となった大洗を訪れており、アニメの背景と同じアングルからのシーンがあったことで話題ともなった。