機動戦士Zガンダム

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機動戦士Ζガンダム(きどうせんしゼータガンダム)[編集]

原作・矢立肇、富野由悠季、総監督・富野由悠季、制作・サンライズによるロボットアニメ。
シリーズ第1作「機動戦士ガンダム」の続編となり、ファーストガンダムの時代から7年後が舞台となっている。
1985年3月から1986年2月にかけて放送。全50話。

2005年から2006年にかけて「A New Translation(新訳)」と掲げた劇場版3部作が公開された。
TV版とは結末が代わり、TVシリーズの続編「ZZ」ではなく劇場版「逆襲のシャア」に直接つながる形に変更された。

概要[編集]

社会現象にまでなったロボットアニメ『機動戦士ガンダム』の続編[1]で、登場人物およびガンダムのデザインは刷新され、前作の登場人物は年齢を重ねて再登場する。
前作の「地球連邦」対「ジオン公国」という明快な図式に対して、本作は地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」と反地球連邦組織「エゥーゴ」との対立を中心に、終盤ではジオンの残党勢力「アクシズ」が絡んでくる複雑な構図となっている。
戦闘においては前作に多くみられたモビルスーツによる白兵戦闘シーンが減り、ビームライフル等による射撃戦闘シーンが多く描かれた。
人物およびメカキャラクターの刷新、作中に次々と登場する専用機や可変MS、そして難解な内容などのために旧作のファンからは「話が分かりにくい」「複雑なデザインのMSが多すぎる」「トランスフォーマーじゃあるまいしガンダムが変形するな」などの不評を買ったが、新規のファンには受け入れられた。
本作は放映当時こそ賛否両論あったものの、20世紀末以降の若いファンにはスタンダードな作品になっている。

TV版から劇場版へ[編集]

ファーストガンダムの時から順風満帆な状況ではない中で作品を立ち上げ、再放送で爆発的人気を得た後も富野監督にとっては悩みの尽きない創作環境だった。
二元的対立だったファーストガンダムから三つ巴の対立構図となった『Z』の中でもエゴや大義に溺れて極端な方策に走り、人道を踏み外す「やりすぎな人たち」に対する怒りや嫌悪はブレることなく保たれているが、それを主人公であるカミーユが強く背負い過ぎているゆえに、良くも悪くも情動の激しいキャラクターは前作の主人公・アムロに比べ視聴者との距離を感じさせる印象になった。
傲慢と非情で自我を肥大させる者、鬱屈と怒りで自我を尖らせる者、双方共に自己中心的に、刹那的になっていき、人間性の希薄さと純粋さがより強烈に、深刻に混在する作品世界はニュータイプとしての可能性をも行き詰らせ、富野監督の悩みをより深める方向へ進んでいった。

僕はむしろ、大人たちの願望が強ければ強いほど、(Zガンダムの)打ち切りは早いと思う。
「重力に魂を引かれた人々」というのは作品の渦中の人たちに対しての言葉だけではない。・・というのが、ここにもある。
こういう現実が、イコール『Z』の世界じゃないのかな。(TV版放映開始時のインタビューより)

Zガンダムは僕にとっての現実認識のストーリーであったんです。それから考えていったら、彼(主人公・カミーユ)はあの様になるしかなかった。
自分の限界を超えて、無理に力を得ようとカミーユがやっているわけで、限界を超えてしまっている彼に何も起こらないで済ませるわけにはいかなかった。
(TV版終了時のインタビューより)

執着と否定と殺し合いの袋小路に辟易し続け、精神疲弊をこじらせた果てに現実と自我の隔絶に陥ったTV版カミーユと同じく、富野監督も後番組『機動戦士ガンダムZZ』では明るい作風を目指すも詰めきれず、後続作『Vガンダム』の失敗で絶望の深潭に沈んだ。『Vガンダム』の後番組である『Gガンダム』を「格闘技大会」として企画するよう提言したのもただの諧謔ではない心境が窺える。
のちに富野監督は新たな方向性を見出し、復帰作『ブレンパワード』『∀ガンダム』『OVERMAN キングゲイナー』でより包括的かつ統合的な世界観の構築に成功する。こうした経緯を経た新訳としてリメイクされた劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』にもその影響は顕著に現れており、カミーユのキャラクターと顛末はTV版から大きく変わっている。

全部目の前に現われてくる事象を、テレビ版のカミーユみたいにプレッシャーとして、フラストレーションが高まるというふうに感じるんじゃなくて、
全部それが外界を学習するための人々、そのための事件だと受けとめるようにしました。カミーユの受けとめる目線だけを変えたんです。
(Zガンダム・ヒストリカ1より)

すなわち、戦いに疲れ、ニュータイプになりそこなたカミーユが自己閉塞するというようなテーマでは、現実の暮らしのなかでおなじような体感をして、
それぞれの人生を送っている青年たちには、自閉させるツールとして消費させられるだけと感じたのだ。(中略) 
作業は、カミーユという主人公が出会う事件、出会う人、体験する戦闘経験をとおして、心になんらかの糧になるものを感じられる少年と考えて、
彼の人生を追いかけてやるだけのものにした。そのために、大団円がどうなるか分からないまま全体構成をやり直していったのだが、
そこで得られた結果は、かるい病気など吹き飛ぶような当たり前のものになって、自分ながら舌を巻いたものだ。(中略)
この仕事によって、ぼく自身、少しだけ足場をずらすことによって、もう妄想は抱かないですむだろうと
想像できるようになって、ありがたいと感じるようになった。
(Zガンダム 創作の秘密より)

一方で、カミーユに戦いの道を歩ませるきっかけを作りつつも、TV版カミーユのように怒りを戦いの動機にできず、エマのような強い人格を持てず、根が実直なゆえにバスクやシロッコのような冷酷さを、ヤザンのような豪快さを持てず、組織に翻弄されて存在感が薄れる損な役回りのライバルキャラだったジェリド・メサの救済は殆ど無かった[2]
本来のバックボーンの薄さと、組織人としての思考に完結した主体性の弱さ、粗野な感情と未熟さを払拭しきれなかったゆえの人間的な深みの不足が、物事の運び次第では得られたであろう成長や突出を他のキャラ(特に劇場版カミーユ)に持っていかれてしまった感がある。

あらすじ[編集]

一年戦争終結後、ジオン公国に勝利した地球連邦政府は増長し、各コロニーに対し圧力を強めていた。
一年戦争から生還した連邦軍人の多くは第一線から後退し、アムロ・レイやブライト・ノアも上層部から持て余され、閑職にくすぶる日々を送る。
やがて新世代が実権を握ると、地球連邦軍内部に、“ジオンの残党狩り”を名目にスペースノイドへの強権的制裁を加えるエリート部隊「ティターンズ」が創設される。
民間人や友軍にまで情容赦ない弾圧と攻撃を仕掛け、急速に勢力を拡大したティターンズに反発する一部の連邦軍人やスペースノイド達は、反地球連邦組織「エゥーゴ」を結成した。
その中核メンバーのひとりであるクワトロ・バジーナ大尉の正体はかつて「赤い彗星」と呼ばれたジオン軍のエースパイロットにして、ジオンの遺児でもあるシャア・アズナブルであった。

宇宙世紀0087年3月2日。
エゥーゴのクワトロ・バジーナらは、ティターンズが開発した新型ガンダムの調査と強奪のためサイド7(グリーン・オアシス)のコロニー「グリーン・ノア1」に潜入する。
同じ頃、グリーン・ノア1に住む少年カミーユ・ビダンは、自分の名前を馬鹿にしたティターンズ士官ジェリド・メサを殴り逮捕されていた。
脱走したカミーユはティターンズへの私怨からガンダムMk-IIを奪取し、クワトロに協力してグリーン・ノア1を脱出。
ティターンズの非道で両親を失ったカミーユは戦う決意を固め、エゥーゴのパイロットとなってニュータイプの素養を開花させていく…。

スタッフ[編集]

企画:日本サンライズ
原案:矢立肇
原作・総監督:富野由悠季
キャラクターデザイン:安彦良和
メカニカルデザイン:大河原邦男、藤田一己
美術:東潤一
デザインワークス:永野護
音楽:三枝成彰
メカニカル作画監督:内田順久
撮影監督:斉藤秋男
音響監督:藤野貞義
音響制作:千田啓子
プロデューサー:森山涇(名古屋テレビ)、大西邦明(創通エージェンシー)、内田健二(日本サンライズ)
制作:名古屋テレビ、創通エージェンシー、日本サンライズ

キャスト[編集]

~キャラクター ~キャスト h
CENTER:カミーユ・ビダン CENTER:飛田展男
CENTER:シャア・アズナブル[3] CENTER:池田秀一
CENTER:エマ・シーン CENTER:岡本麻弥
CENTER:ブライト・ノア CENTER:鈴置洋孝
CENTER:ヘンケン・ベッケナー
ナレーション
CENTER:小杉十郎太
CENTER:レコア・ロンド CENTER:勝生真沙子
CENTER:カツ・コバヤシ CENTER:難波圭一(TV版)
浪川大輔(劇場版)
CENTER:ブレックス・フォーラ CENTER:藤堂貴也(TV版)
石井康嗣(劇場版)
CENTER:アムロ・レイ CENTER:古谷徹
CENTER:ベルトーチカ・イルマ CENTER:川村万梨阿
CENTER:ハヤト・コバヤシ CENTER:鈴木清信(TV版)
檜山修之(劇場版)
CENTER:カイ・シデン CENTER:古川登志夫
CENTER:ジェリド・メサ CENTER:井上和彦
CENTER:フォウ・ムラサメ CENTER:島津冴子(TV版)
ゆかな(劇場版)
CENTER:ロザミア・バダム CENTER:藤井佳代子(TV版)
浅川悠(劇場版)
CENTER:バスク・オム CENTER:郷里大輔
CENTER:ジャミトフ・ハイマン CENTER:池田勝(TV版初期)
西村知道(TV版後期・劇場版)
CENTER:ヤザン・ゲーブル CENTER:大塚芳忠
CENTER:サラ・ザビアロフ CENTER:水谷優子(TV版)
池脇千鶴(劇場版第2部)
島村香織(劇場版第3部)
CENTER:パプテマス・シロッコ CENTER:島田敏
CENTER:ミネバ・ラオ・ザビ CENTER:伊藤美紀(TV版)
平本亜夢(劇場版)
CENTER:ハマーン・カーン CENTER:榊原良子

久米田作品声優(じょしらく声優)からはあの方役の飛田展男がカミーユ・ビダン(主人公)役で出演している。

久米田康治との関連[編集]

かってに改蔵との関連[編集]

213話でZガンダムが1話から出ていたわけではなかったことがネタにされていた。

さよなら絶望先生との関連[編集]

68話で文系・理系・体育会系のガンダムの項目において、文系のガンダムとして振り分けされていた。

アニメ「さよなら絶望先生」との関連[編集]

Webラジオ「さよなら絶望放送」との関連[編集]

  1. 厳密にはテレビシリーズではなく、劇場版三部作の設定を引き継いだ続編である。
  2. 富野監督も作品中盤以降のジェリドの変化について生真面目な性格ゆえのものであることを認めている。
  3. EDのキャストクレジット表記に基づく。作中では「クワトロ・バジーナ」を名乗る。なお、キャストクレジットでは主人公カミーユ・ビダンより上位に表示される。