二十一日目/下僕の仇討ち

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二十日目/四枚起承二十二日目/お開票

二十一日目/下僕の仇討ち (しもべのあだうち)[編集]

タイトルの元ネタは古典落語の『花見の仇討ち』もしくは『宿屋の仇討ち』より。

※『宿屋の仇討ち』
宿に泊まった侍は静かに休みたいのだが、隣室の三人組が賑やかに騒ぐので全く眠れない。
三人組のうちの一人が話し始めた武勇伝は、侍の妻と弟の仇に関することと分かり、侍は復讐すると言い出し大変なことに‥‥。

作品情報[編集]

2011年4月9日発売、別冊少年マガジン5月号に掲載。

P669(雑誌掲載時のみ)[編集]

全連載作品春の恒例である前回までのあらすじ添付&概容の添付ページ。
詳細解説「ジョシペディア」は担当の塩田氏入魂の主要キャラ紹介である。
単行本第参巻P126-127に収録。

P60[編集]

扉絵[編集]

座布団を運んでいたら、落ちた座布団で足を滑らせる空琉美遊亭丸京
単行本では背景を加筆。大喜利に出ている覆面落語家が描かれている。

P61[編集]

1コマ目[編集]

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P62[編集]

2コマ目[編集]

魔梨威「この世界 上下関係が 絶対だからね!」[編集]

落語家での上下関係は基本的には入門した日時で決まる。
一秒でも早く入門したものが先輩であり「兄さん」と呼ばれ、下の者は呼び捨てにされる。
更に真打になった順番が早ければ早い程、序列表「香盤」の順番が早くなり、早ければ落語家としての格や地位が高いとされている。
公的な場での呼称、寄席での割(給料の分配率)の決定権、落語協会・落語芸術協会所属の落語家であれば会長・副会長・役員などになれる可能性が高くなる絶対的身分階級制度である。
なお、香盤は一度決まってしまうと自分より上位の噺家が死亡・廃業・引退などで居なくならない限り上位に上がることはないが、不祥事などを起こすと下げられることがある。
東京は基本的に公開、上方は非公開となっている。
ちなみに、この香盤が元になって立川談志が古今亭志ん朝が自分より先に真打が決まった時に拒否しろと言ったエピソードや、立川談志・先代圓楽の落語協会脱退の原点に絡んでいるとも言われている。

7コマ目[編集]

テレビ画面「TVを消して節電を」[編集]

東日本大震災による電力不足のため、関東から東北の広域にかけて節電中であることから。

P63[編集]

単行本では2~4コマ目の背景を加筆。

P64[編集]

1コマ目[編集]

米俵とペットボトル[編集]

東日本大震災による食料の備蓄と推察される。

2コマ目[編集]

木胡桃「キグ&ruby(・・・){ちゃん};じゃない! キグ&ruby(・・){さん};だ!!」[編集]

東京の落語家は前座・二つ目が先に入門した前座・二つ目を呼ぶ場合は「兄さん・姐さん・(名前)さん」と呼び、真打を呼ぶ場合は「師匠」と呼ぶ。
真打が前座・二つ目・目下の真打・同輩の真打は呼び捨て、もしくはくんさん付け。
目上の真打は「師匠」と呼び、落語協会・落語芸術協会の会長・副会長を呼ぶ時は役職名で呼ぶことが多い。

3コマ目[編集]

木胡桃「私がこうしたら うまい棒に決まってんだろ」[編集]

やおきんが販売しているスナック菓子。
画の「たこやき味[1]」「チョコ味[2]」「テリヤキバーガー味[3]」は定番品として実在するが、なっとう味は販売終了品のため入手しにくい。
なお、うまい棒のたこ焼味は「復刻版」と呼ばれるタイプの物もある。

6コマ目[編集]

木胡桃「違うだろ!こりゃカレー味じゃないか!!」[編集]

「うまい棒」の定番品。多分「チキンカレー味」と思われる。

P65[編集]

1コマ目[編集]

2コマ目[編集]

貼り紙「節電」[編集]

P672・2コマ目と同じく、震災による節電と思われる。

木胡桃「まったく・・・・・・ 先輩の好きな うまい棒の銘柄くらい憶えときなさい」[編集]

前座の寄席の楽屋での仕事のひとつに「師匠方への給仕」があり、出演の真打が楽屋を訪れると飲み物を差し上げるのが通例となっており、好みの飲み物を出さなければならない。
お茶であれば濃い薄い、熱い温いなど、ジュースや酒であれば銘柄などを的確に出さなければいけない。
これらの情報は前座の間で共有されている。
この発言はこれらを下敷きにしていると思われる。
ちなみに十代目金原亭馬生(先代、古今亭志ん生の長男・古今亭志ん朝の兄)は、末期は食道がんを患っており、食事が取れなかった事から高座に上がる前は、冷やしたコップ一杯のビールを飲んでから上がっていたと言われている。

記事「知事選開始 本命は?」[編集]

2011年4月10日に行われる統一地方選挙。
北海道、東京、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、佐賀、大分の12都道県の知事選挙が行われる[4]

8コマ目[編集]

木胡桃「ちがーう!しかもコレいちご新聞じゃないか!!」[編集]

いちご新聞はキャラクターグッズメーカーのサンリオが毎月発行する月刊紙。
サンリオのキャラクター及びグッズ情報がふんだんに掲載されており、ファンに人気である。
また1986年からは紙上で「サンリオキャラクター大賞」が行われている。
第一回はザシキブタが受賞し、以降88・89年は2年連続みんなのたあ坊、91~95年まで5年連続ポチャッコ、99年~09年まで11年連続ハローキティ、10・11年はマイメロディがそれぞれ連続受賞している。
ちなみに入手方法は全国にあるサンリオショップで購入する必要があるが、通販も可能。
アメリカでは「THE STRAWBERRY」の名前で販売されている。

記事「苺も買い占め」[編集]

東日本大震災の影響で、食料や日用品の買い占め現象が起きていることから。
もし実際に買い占めた場合、苺は傷みやすい果物なので、早めに食べることをオススメする。

P66[編集]

1コマ目[編集]

木胡桃「みりんせんべいに決まってんだろうが」[編集]

大判のえびみりん焼きと思われる。三河屋製菓から販売されているものが有名。

7コマ目[編集]

木胡桃「やればできるじゃないか!こーしたらポテコだよ」[編集]

東ハトのスナック菓子「ポテコ」のこと。ちょうど指にはまる位の輪の形をしており、一部商品のパッケージには指にはめているデザインのものもある。

P67[編集]

木胡桃「やっぱり とんがりコーンはこうやって食べないとな」
丸京(親におもいっきし怒られるけどね)
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ハウス食品の「とんがりコーン」のこと。
かってに改蔵第207話でも「禁じられた遊び」の一例として取り上げられている。

5コマ目[編集]

ポテトチップス[編集]

CMでは複数枚かため食いも見られたプリングルズ。
今話掲載直前の2011年4月6日に、販売元のP&G社の食品部門撤退のため売却。今後はアメリカのダイヤモンドフーズ社ケロッグ社[5]が引き継いだ。国民の肥満防止と税収アップのために欧州では税金を掛ける国も存在するほど高カロリー食品の代表格。似たような新税を導入する国も出てきているらしい。

7コマ目[編集]

腕の上の菓子[編集]

明治製菓のアポロチョコ。
腕にするお灸に見立てている。
ちなみに明治製菓は2011年明治乳業と合併して、単に明治となった。

P68[編集]

P69[編集]

1コマ目[編集]

丸京「熱いおでんをご所望ですね 煮えたぎるような熱い‥‥‥」[編集]

熱いおでんを食べさせられたり、顔に当てられるのは、太田プロダクションの芸人によるお家芸とも言えるリアクション芸の定番。
初代は「オレたちひょうきん族」のコントでビートたけし(当時太田プロ、現オフィス北野)が、熱々のおでんの具・汁・コンロであぶったおたまを後輩の片岡鶴太郎に押し付けることで誕生。
この芸を最初に行った片岡鶴太郎は、後年のインタビューで「火傷や怪我を防ぐため、実はすごく熱いというほどではなかった」と語っていた。
その後90年代初頭にたけしが出演していた「スーパージョッキー」にて、更に後輩のダチョウ倶楽部が熱湯風呂と一緒にその芸を受け継いでいる。
ダチョウ倶楽部の場合は、営業で用意されたモノが本当に熱かったらしく(用意したのは裏事情を知らないクライアント側)ひどい目にあったと告白している。
90年代中盤からは太田プロ以外の若手の定番リアクションネタとして行われる事も多い。
また太田プロ以外でもリアクション芸人として活躍する出川哲郎の鉄板ネタとしても使われる事がある。

4コマ目[編集]

丸京「ご所望はもしかして この赤く焼け焦げた 玉鋼ですか?」[編集]

日本古来から刃物に用いられてきた上級の鉄鋼素材(和鋼)は玉鋼と呼ばれる。
現在の基準ではとても手間のかかる製鉄技法だが、日本刀の鍛造には最も適した素材であることから刀匠向けに限定生産されている。
本来は日本刀の材料であるが、江戸時代に罪人に自白を強要する拷問の際に押し付けると言って脅しに使ったり、実際に肌に押し付けて火傷を負わせるなどして自白を迫る際に使用されていた。

P70[編集]

6コマ目[編集]

袋「NaCl」[編集]

NaClは塩化ナトリウム、いわゆる食塩の化学式。これも震災の備えであろうか。

P71[編集]

1コマ目[編集]

丸京の格好[編集]

網タイツに鞭とろうそく装備で女王様の格好。こうした衣装を称するbondageは「拘束、隷従」を意味する。
ちなみに、ホラーサスペンス映画の『ヘル・レイザー』は苛虐礼賛趣味の魔導師が頼まれないのに異世界から来てしまうストーリーで、今話の展開とちょっと似ている。

右端の器具[編集]

椅子を使う拷問は、ドイツ椅子(審問椅子)、スペインの椅子がある。
前者は有名なトゲだらけの椅子であるが、しかしトゲが無数ある為に体重が分散されトゲは刺さらないらしい。後者は対象者を鉄製の椅子に座らせてから足にラードをぬってそして椅子の下から火であぶる。この拷問は他の火あぶりとは違い、じわじわと責める事ができる。ラードをぬるのは足の炭化を防ぐ為、なかなか燃えなくなるので、苦痛が長くなるからである。

苦来が受けている責め[編集]

江戸時代の日本で行われていた「石抱き」という拷問(算盤責めともいう)。
江戸幕府が制定した法律書『公事方御定書』でも犯罪者への拷問として用いることが書かれているなど、かなり有名な拷問であるが、加圧拷問は何度も繰り返し行うと、慣れてしまうという欠点もある。
さよなら絶望先生5話でも小節あびるがこれに似た拷問を受けているイメージが描かれていた。

木胡桃が受けている責め[編集]

吊るし責めの一種。
両腕を頭上で縛って吊るす場合、肩を脱臼しやすい(脱臼しやすいよう、後ろ手に縛り上げて吊るす手法もとられる)。また、長時間吊るされると体重を支えている縛り目の部分が壊死する可能性も高い。

魔梨威が受けている責め[編集]

中世~近世の世界中で行われていた「木馬責め」という拷問。
別名「三角木馬」。中世ヨーロッパでは「ロバ」とも呼ばれていた。
対象者をまたがらせると、角に強く体重がかかる為、激痛が走る。足に重りをつけたり、揺らしたり、鞭打ち、焼きごて等とバリェーションも豊富であり、これを極悪にした「ユダのゆりかご」もある。
後世においては一部の大人のハードな遊びに流用されるようにもなったが、詳細は割愛。
かってに改蔵第238話でも作中に登場している。

左端の器具[編集]

中世時代の拷問器具。鉄の処女(アイアン・メイデン)と呼ばれる。中に無数の針があり、扉を閉めると前後から針に刺される仕組み。マガジンで連載されていた『金田一少年の事件簿』でも凶器として使用されている。
かってに改蔵第127話第262話でも、名取羽美がこの器具を使っている。

ちなみに日本では明治大学博物館(刑事部門)に石抱き、吊るし責め、アイアン・メイデン(レプリカ)が展示してある。

4コマ目[編集]

手寅「今こそ国民の下僕へ!!」[編集]

英語では公務員を「公衆の下僕」の意からcivil(またはpublic) servantと称しており、(定かではないが)日本で用いられる「公僕」もこれを訳した言葉かと思われる[6]

P72[編集]

1コマ目[編集]

ポスター「見んなの党」[編集]

政党「みんなの党」から。

ポスター「ありが党 挨拶する国」[編集]

ポスターに描かれているのはACジャパンのCM「あいさつの魔法。」に登場するキャラクター「ありがとウサギ」。

ポスター「黄金時間」[編集]

竹宮ゆゆ子のライトノベル「ゴールデンタイム」のこと。[7]
イラストは「ゴールデンタイム」第2巻の表紙。

2コマ目[編集]

魔梨威あいつ 被選挙権 あんのかよ!」
木胡桃「いくつ なんですか あの人!?」
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被選挙権を認められる歳は、25歳(衆議院議員、都道府県議会議員、市区町村長、市区町村議会議員)か30歳(参議院議員、都道府県知事)。
中学3年生の社会科の公民の授業で教わる。

なお、該当年齢であっても以下に当てはまる場合は被選挙権はない(いわゆる「公民権停止」)。
公職選挙法第11条

  • 成年被後見人
  • 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
  • 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予は含まない)
  • 公職者の収賄罪、斡旋利得罪により実刑に処せられた者(執行猶予含む実刑期間中、および刑期満了から10年間[8]
  • 選挙犯罪により禁錮以上の刑に処せられ執行猶予中の者

公職選挙法第252条、電子投票法第17条

  • 選挙犯罪を犯し罰金の刑に処せられた者(判決確定日より5年間)
  • 選挙犯罪を犯し禁錮以上の刑に処せられた者(判決確定日より、また刑期満了から5年ないし10年間)

政治資金規正法第28条

  • 政治資金規正法違反で罰金の刑に処せられた者(判決確定日より5年間)
  • 政治資金規正法違反で禁錮刑に処せられた者(判決確定日より、また刑期満了から5年間)

ただし、裁判所の情状酌量により公民権停止は適用しなかったり期間を短縮する場合がある。

3コマ目[編集]

公約「首都を鯖江に移転」[編集]

福井県鯖江市は眼鏡フレームの生産で国内96%を誇る。本作の十一日目にもあり。
さよなら絶望先生86話でも眼鏡店店長の名前のネタにされている。

P683 楽屋雀の巣 じょしらく通信 ファンページ(単行本掲載時のみ)[編集]

義務?[編集]

今話の覆面落語家[編集]

P60扉絵。
本編では跡形なく姿をくらまして出番なし。

かゆいところ[編集]

今話のやり取りから、波浪浮亭木胡桃は10代らしく、他のメンバーも年代が近いことが判明。

P679の1コマ目[編集]

同じ筒状食品のうまい棒との韻を踏んだのか、過去には名取羽美木津千里33話)も使用した久米田作品伝統のネタアイテムであるちくわを、本作では丸京が使用。これが猟奇キャラへの萌芽となるであろうか。
ちなみに実際のおでん熱い芸では接触面積の大きいはんぺんや大根、こんにゃくが用いられる傾向が多い。


二十一日目/下僕の仇討ち~

二十日目/四枚起承二十二日目/お開票

  1. 実際の商品名は「たこ焼味」と表記。
  2. 実際の商品名は「うまい棒チョコレート」。なお、やおきんのうまいは「チョコ味」と表記される。
  3. 画に味名は書かれていないが、絵から推測。
  4. 当初は岩手県知事選も予定されていたが、東日本大震災による臨時特例法案が可決され延期が決定している。
  5. 2012年2月にダイヤモンドフーズ社が売却交渉を打ち切り、同日にケロッグ社が買収することを発表した。
  6. ちなみに同じ奉仕でもvolunteerは「任意、志願」の意を語源としており、雇用関係に基づいた強制力が薄い。
  7. その他の代表作にヤスが挿絵を担当する『とらドラ!』もある。
  8. 選挙権は5年間だが、被選挙権は10年間と規定されている。