キラキラネーム

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キラキラネーム/DQNネーム[編集]

常識的な命名から逸脱した奇抜な名前を揶揄する意味で使われるスラング。
いわゆる「DQNネーム」のことで、「キラキラネーム」は報道機関が対応する単語として後追い的に造語したものである。

概要[編集]

「DQNネーム」「キラキラネーム」とは…?[編集]

珍名・奇名については、21世紀初頭から2ちゃんねるなどのインターネットWebsiteで話題にされることが多く、あまりにもおかしな子供の名前を蔑む意味で使われていたネットスラング「DQNネーム」「DQN名」などが始まりである。ここでいうDQN(ドキュン)とは、一般人の感覚から著しく逸脱ている者、とりわけ非常識な不良軍団や低学歴層を表すインターネットスラングである[1]


常識的に考えがたいとされる名前や、一部の当て字など非常に読みづらい名前等に対して用いられる。しかしながら「DQN」というネットスラングそのものがその成立当初より他人を侮辱ないしは誹謗中傷する目的で成立したものであり、当然「DQNネーム」というスラングもまた侮辱的意味合いを含んでいる。実際に当該の単語の使用が侮辱行為にあたると認めた判例がすでに存在しており[2]、司法の場によって「DQN」が侮蔑語として認められたことが示されている。従って、他人の名前を公の場で「DQNネーム」であると明示して精神的苦痛を与える行為、または不特定・多数の人が見聞き可能な場・手法において人の名前を直接または察知しうる形で「DQNネーム」と呼ぶなどしてその人の社会的評価を低下させるような発言・発信をすることは、侮辱罪・名誉毀損罪が成立しうる。
このため、報道機関やマスメディアでは「DQNネーム」を同様の意味を持つ「キラキラネーム」という造語にて置き換えている。しかし人の口に戸は建てられず、「キラキラネーム」もまた若干の侮辱的意味合いを帯びてきている。


注目される理由[編集]

上述の通り、この単語に若干の侮辱的意味合いを含みながらも注目される理由として、単純に「DQNネーム」が近年増加傾向にあるためである。その原因としては、「子供の名前に使える漢字の増加」「親の稚拙化」「近年の風潮」「漫画やアニメの影響」「マタニティー雑誌の影響」など様々な要因が推察されている。


識者によれば、この傾向が現れたのは平成期になって以降と指摘されている。この契機となったのは、1990年に決定された人名用漢字の規制緩和であるという。もともとは戦後の日本語の平易化という一貫した流れのなかで定められた常用漢字(2136字)であるが、これ以外にも人名用に使用可能な漢字としてとして、人名用漢字が指定されていた。これがこの年、166字から284字に緩和されたという。これにより芸能人など社会的に露出の多い人々がその子供に通常使わなかった漢字や複雑な名前を付ける場合が増加したため、この影響からこれに感化された親世代が様々な漢字を使用するようになったとする説である。
この時期に、自分の子供を他所の子供と差別化を図りたいという傾向が強まった時期でもあり、やたらと子供に難解だったり複雑だったり絶対に聞かないと読めない漢字や読み仮名をつける傾向が出現した。この流れは、法務省が保護者からの意見聴取などを基にして2人名漢字の大幅追加(計983字)となった2004年頃に決定的となり、世の中に個性的すぎる命名が氾濫することとなった。
この子供の名前に過剰とも言える個性化・差別化を求める傾向については、一説にはベネッセコーポレーション発行の育児雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」およびその増刊号の「名づけ特集」の影響があると指摘されている。


これら個性的すぎる「キラキラネーム」が注目される大きな理由として、名前に使われる漢字の読ませ方が問題になっている。戸籍法では、命名は漢字(もしくはひらがな・カナカナ)のみであり、その読みについては一切規定されていない。このため、漢字の読みに関しては親の自由ということになる。極端な話としては「太郎」と書いて「はなこ」という読み方にすることも可能ではある。ここまで極端ではないにせよ、社会生活を営む上で親以外の誰にも読めないような名前を付けてよいかどうかという倫理的問題、あるいは単純に面白おかしくクイズ感覚として捉えられるにしても、広く漢字の読み方が注目されてしまうのである…。

実は昔からあった?[編集]

実際のところ、珍妙な命名についての問題は、現代日本に特有の問題というわけではなく昔から存在する、古くて新しい問題でもある。14世紀に執筆された卜部兼好『徒然草』の第百十六段には

人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。
何事も、珍らしき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。

との記載があり、見慣れぬ漢字を使用するのは学の浅い人間がやることであると指摘している。江戸時代には、落語の『寿限無』や本居宣長の随筆『玉勝間』第十四巻にも珍名に関する記述が散見される。
有名どころでは、森鴎外が自身の子や孫の命名に関与したときには、「世界に通用する名」にすべく長男・於菟(おと、ドイツ語のOttoから。台北帝国大学医学部教授などを歴任)、長女・茉莉(まり、Marieから。随筆家・小説家)、次女・杏奴(あんぬ、Anneから。随筆家)、次男・不律(ふりつ、Fritzから)、三男・類(るい、Louis。随筆家)とドイツ語に由来する命名をしている。


また、この現象は日本だけに限らず、伝統的な命名則に従わない命名は英国や米国などでも増加しているという。このように洋の東西や時代を問わず名前にかかわる常識やトレンドは常時変化している。その変化の速度や程度が社会通念上の許容範囲かどうかということであろう。

法則性?[編集]

命名された名前の漢字読みが一般的に奇抜であるかどうかについては、ある程度の法則性がみられる。特に特定の漢字の読み方(俗に「ぶった切り」「豚切り」などと表記される)の不自然さが違和感を持つ原因のようだ。インターネット上には、下記に示すような音韻学的な分類に基づく表すら存在している。

  • 不自然度1:"uu"を"u"、"ou"を"o"とするもの。

一般名詞にもみられる日本語にありがちな音韻変化である。 例:「優(ゆう)」→「ゆ」 、「央(おう)」→「お」

  • 不自然度2:"ei"を"e"とするもの。

多くの人が「ぶった切り」であることに気付くが、不快感はない程度。 例:「英(えい)」→「え」、「寧(ねい)」→「ね」

  • 不自然度3: "ai"を"a"とするもの。

殆どの人が「ぶった切り」と感じる。不満を感じる人が出る。 例:「愛(あい)」→「あ」、「彩(さい)」→「さ」

  • 不自然度4:訓読みの送り仮名を消し去ったもの。

殆どの人が違和感をおぼえるが、読めなくもない。 例:「舞(ま)う」→「ま」、「咲(さ)く」→「さ」

  • 不自然度5弱:その他、音読みの一部を切るもの。

殆どの人が違和感をおぼえ、心の安定を図ろうとする。 例:「凛(りん)」→「り」、「密(みつ)」→「み」

  • 不自然度5強:連声した語を再分解したもの。

異常を感じ、たいていの人が思考を中断する。 例:「音」→「観音(かんのん)」の一部→「のん」

  • 不自然度6弱:訓読みの一部を切るもの。

解読することすら困難になる。 例:「心(こころ)」→「ここ」、「叶(かな・う)」→「か」

  • 不自然度6強:熟字訓を強引に分解したもの。

自力では解読することができない。 例:「雪」→「雪崩(なだれ)」の一部→「な」、「永」→「永久(とわ)」の一部→「と」

  • 不自然度7:西洋語などを更にちょん切ったもの。

高出力電波に翻弄され、自由意思で行動できない。 例:「月」→「るな」→「る」、「星」→「すたー」→「す」


久米田康治との関連[編集]

『さよなら絶望先生』作品内にて[編集]

100話『路傍の絵師』にて、「容疑者の珍名が気になってしまった」とネタにされている。
そのほか最終話にて、絶望少女たちの戒名がキラキラ戒名であるとして揶揄された。

  1. テレビ朝日系列で1994年から2002年まで放映されていた情報バラエティ番組『目撃!ドキュン』が由来とされている。ここに登場する低学歴・不良集団を揶揄したものと推定される
  2. 東京地裁平成15年(2003年)9月17日判決(⇒★>http)による。控訴審東京高判平成16年(2004年)1月29日も同結論を維持している