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ヤシガニ

アニメ業界における用語で、いわゆる「作画崩壊」や「演出破綻」のことを指す。

以下に説明する事例からこの名がついた。
極端に短いスケジュールからスピード優先で作画を仕上げた際、あまりにもひどい出来だった場合、放送までに修正しきれず、結果、設定と大きく逸脱した作画になってしまう現象。

また、ヤシガニまでいかないまでも、短いスケジュールだと表現が所々手抜きになることや、重要部位のみに極端に力が入って他の部分がおろそかになると言った事など(セブンアークス作品によく見られる傾向)もあり、上記の現象を含め、DVDでの修正カットが必然的に多くなる(この場合は「魔法少女リリカルなのはA's」以降のシリーズにちなんで「ベルカ式作画」とも呼ばれている)。

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語源

1998年4月にテレビ東京で放映していたアニメ『ロストユニバース』伝説の第4話『ヤシガニ(ほふ)』より。(動画前半後半
主に「ヤシガニ事件」と呼ばれている。 原作は神坂一、制作はイージーフィルム(この問題が遠因となって後に倒産)、製作はテレビ東京、ビデオはキングレコードスターチャイルド)がリリースした。*1

ただし、韓国の制作会社に下請け(孫請け)に出された第一クールの前半が酷く、それが視聴者の目に明らかに映ることとなった4話のヤシガニが伝説となって現在まで語られているわけで、『ロストユニバース』の作画が最後まで低調だった訳ではない。また、ほとんど時間がない状態でいきなり作画を依頼された韓国側も非はない。

この放送版第4話「ヤシガニ屠る」は日本のスタッフによって作画の修正(書き直し、動画の追加)が行われ、DVD版には収録されていない。この修正作業を行うためにDVD版では放送版第5話から第12話がそれぞれ1話づつ繰り上げられて収録され、修正版「ヤシガニ屠る」がDVD版第12話として収録されている。

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当時のアニメ製作状況

1990年代後半、アニメ業界は『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットでいわゆる「アニメバブル」状態を迎えテレビ各局が熱に浮かされたようにアニメを放送していた。今では考えられないが当時週70本くらいのアニメが放送されていた(平均量は1週間20~30本くらい)。

それを支えていた当時のアニメ制作現場はいっぱいいっぱいで、その大部分(作画など)を中国や韓国などに委託していた。この『ロストユニバース』もたぶんに漏れず、企画・制作はギリギリの時間で行われていて、制作を中国や韓国に任せており、事件はついに起こってしまう。しかし「いつかは起こるだろう」といわれてきており、これは予想の範疇でもあった。

『ロストユニバース』において作画・演出等で内容の破綻してしまった作品が、海外から放映直前に送られてきたのだ。本来なら日本側で修正されるのが普通だがその時間もなく作品は破綻したまま世に出ることになる。
以上のような経緯から、あまりにも作画が酷いアニメーションの代名詞として「ヤシガニ」と呼ぶようになった。作画・動画・仕上げなどの重要な部分で大陸国家系制作会社が関わる事から、この手の大陸外注で作画が崩壊した作品は「三文字作画」「三文字アニメ」とも呼ばれる。

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業界における問題点

現在においてもこの問題は常にローコストを求められるアニメ業界が抱える慢性的問題でもある。近年は低資本で製作される深夜アニメにおいて発生率が高くなっているようだ。
2008年に公正取引委員会がアニメ制作会社114社にアンケート調査したところ、約4割が制作費や制作スケジュールでのトラブルがあったという。
また、遡ってTVアニメ黎明期に低予算で制作を請け、日本独特の「リミテッドアニメ」の手法を確立させ、結果的に以降における制作現場の方向性を慣例付けてしまったとする趣旨で手塚治虫の責任を指摘する意見もある(手塚も後年、低予算で引き受けたことを失敗と語っている)。しかし当時は一般的ではなかったテレビアニメというジャンルを売り込むためにはそれも仕方なかったのではないか、という意見も聞かれる。
しかし、この低予算(質より量)体制が日本のテレビ界に深く定着したことも事実であり、放送コンテンツにおけるアニメ番組の抜本的な地位見直しはまだまだ難しいのが実情である。

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どのように破綻していたのか?

リテイク版との違いはhetaredo - リテイクチェックで確認できる。

こうした品質を見るアニメファンの目は厳しく、問題が発見された作品は作品論的評価とは別の意味で皮肉な注目を受けてしまうことも間々ある。

ちなみに『クレヨンしんちゃん』や『新世紀エヴァンゲリオン』などの一部の作品で頻繁に絵が変わったり、絵が崩れたりすることがあるが、これは作画監督の個性を出すという制作側の方針であるため、ヤシガニではない。
近年、統一した画風を求めるファンからは、こういったアニメーターの個性すら、作画崩壊といって否定されることもある。これは比較的新しいアニメファンに多く、80年代~90年代のアニメを経験したアニメ古参ファンはこう言った制作側の方針、アニメーターの個性を容認している節が見られる。

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主な該当アニメ作品

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魔法先生ネギま!

2005年1月より放映された第1期では、中盤までの作画崩壊で原作者の赤松健も自身のサイトの日記で苦言を呈するほどだった。さらに、第23話終盤でメイン・ヒロインが急死、第24話冒頭で火葬されるという想定外を超越した展開を迎えたことで、原作ファンの大ブーイングを買った。この反省から制作スタジオが第1期のXEBECから第2期となる「ネギま!?」ではシャフトに変更された。

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夜明け前より瑠璃色な

2006年に放映されたアダルトゲーム原作の深夜アニメ。第2話から作画が崩れ始め、第3話では全体的なデッサンの狂い・遠近法の無視などの作画の著しい崩れが見られた。特にどう見ても緑色のビーチボールにしか見えないキャベツの描写(⇒)は視聴者に強烈な印象を残した。その後も全話にわたり作画のみならず脚本・演出も崩れていた。
本作のみならず、アニメ版『ハヤテのごとく!』第1期第17話でもさりげなくネタになっている。

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ガンドレス

1999年公開。上記の「ロストユニバース」と同時期に公開された劇場アニメであり、製作体制が崩壊し公開に追いつかず、ほとんどの部分が未完成のまま公開された。
未完成が発覚したのが劇場公開二日前の初号試写だったため公開中止に出来ず、公開時に事情を観客に伝えて後日に完成版のビデオ配送を行うよう取り計らうなどの措置が取られた。なお、完成版は1年後に限定上映されている。
この事態を受け、興行元の東映が配給元の日活に、日活が製作請負のサンクチュアリに、サンクチュアリが制作のスタジオジュニオにと、ドミノ連鎖的な損害賠償請求が行われた。またDVD版の販売に関しては東映が降り、日活が上映版(未完成版)も収録の上で自虐的な「世紀末、日本アニメ業界を慄然とさせた伝説のANIMATION MOVIE」というキャッチコピーで販売した。

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学園都市ヴァラノワール

2002年に発売されたPS2・GCゲームが原作であり、そこから派生して発売されたOVA全二巻のクオリティの異常な低さが話題になった作品。
動画枚数が少なく絵が動くのが稀で、静止画主体の構成のため紙芝居と揶揄される。通常締め切りのある週アニメとは違い、時間に余裕があるであろうOVAでこんな作品ができるのは異例であった。
こうした状況のため、声優陣は収録に苦労したのではないかと見る人を絶望に追い込む。主人公は野中藍がポジティブに演じているが、『さよなら絶望先生』関連のインタビューで「絶望したこと」として、この作品のクオリティの低さを挙げたほどである。

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MUSASHI-GUN道-

モンキー・パンチ原作のアニメ作品。2006年放映。
放映初期の著しい作画の崩れっぷりが話題になり、「ネタアニメ」と評された。放映後期には作画は改善されたものの「ネタアニメ」としてみていた人からは逆に批判の的になった。

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その他

上記作品の他にも作画崩壊アニメとしてアキハバラ電脳組(テレビ放送98年・劇場版公開99年)などいろいろあるがここには書ききれないので割愛。

また、『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』や『星のカービィ』等の作中で、業界の自虐ネタとしてヤシガニをネタとすることがある。

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類義語

前述の各作品では特徴や台詞に応じた派生呼称が存在しており、以下に例示する。

また、その制作状況に対する批判に対し、制作スタッフが自社ブログ中で言った暴言から「制作態度を改めない作品」を「肛門アニメ」とも呼ぶようになった(天元突破グレンラガン)。
また、ニコニコ動画などでは、こう言った動画(いわゆる「素敵動画」と呼ばれる類のもの)がなにかと人気であり、以下の台詞も類義語となっているようだ。

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久米田康治との関連

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さよなら絶望先生 作品内にて

学校の廊下の紙に書かれていたり、ピンポイントでこの単語が登場する。


*1 原作、制作会社、主要スタッフ(渡部高志・宮田保奈美夫妻)、主演声優(林原めぐみ)、放送局、主要参加企業(角川書店・キングレコード)という布陣は当時のヒットアニメ『スレイヤーズ』シリーズと同様である。
*2 最終回での「ひつっまぶしっ!」という台詞もネタにされる。
*3 ちなみにこのセリフを喋ったのはニンジャ太郎役で出演していた絶望声優の小林ゆうである。

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最終更新時間: 2012-11-07 (水) 10:52:42 (2205d)